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津波後のオフィシャルレポート

『シミラン諸島のサンゴ礁域の調査報告書津波の影響』

【調査賛同及びに著者】

ソンクラーナカリン大学生物学部
シミラン諸島国立公園管理事務局
クラブリ海洋域国立公園管理事務局
沿岸域及びに海洋海洋域管理事務局
及びに有志ダイバー
 
【生物学的情報及びに報告は以下の管理において常時確認可能】

サックアナン・プラートーン教授
Marine Biologist Department of Faculty of Science
Prince of Songkla University (HaadYai)
Tel; 09-445-2520
sakanan.p@psu.ac.th

【翻訳及びに情報提供】

JTDNETWORK

【プロジェクトのバックグラウンド】

スマトラ沖津波の発生によりアンダマン海域の海岸線における影響が発生した。サンゴ礁域の破壊も箇所により認められたものの、サンゴ礁生態的見地からサンゴ礁全域にわたる破壊ではないゆえに、早急なるサンゴ礁域の調査及びに保護が必要とされた。タイ国のアンダマン海域国定公園、シミラン諸島にその調査団を送り込み、調査した結果を以下に報告するものとする。

ソンクラーナカリン大学生物学部
シミラン諸島国立公園管理事務局
クラブリ海洋域国立公園管理事務局
沿岸域及びに海洋域管理事務局
及びに、有志ダイバー

上記により、国立公園内のサンゴ礁域の調査が2005年1月6日~1月8日までの間、プーケット島、RajaNoi及びにRajaYai、シミラン国立公園諸島海域海底での調査が行われた。

【結果報告】

シミラン国立公園内におけるサンゴ礁域の津波による破壊はひどく、特に諸島の東海岸側にその被害の大半が見られる。その被害の殆どが、波の力により発生したサンゴ礁域の砂地盤の揺み、崩れがサンゴ礁域傾斜(Reef Slope)に多く見られた。

但し、幸いな事に被害のあったサンゴ礁域におけるサンゴの多くが死んではおらず、今後も成長を続けることの出来る程度のダメージであった。サンゴ砂が流れ落ち、生きたサンゴに覆いかぶさる現象もあり埋まってしまったものも見られ、全体的なエリアから判断すると破壊されたサンゴは10から20%程度と判断できる。

特に影響がひどく、破壊されたシミラン諸島国立公園内海域としては
ChainaWall (South of KoMiang)
ChristmasPoint(West Of Ko Bangu Similan#9)
Snapper Alley (Ko Bangu)
上記以外では全く津波の影響のなかったサンゴ礁域も見られた。

1. 諸島東側のサンゴ礁域
1.1 水底の平らなサンゴ礁域(Flat Reef)

東側における水底の平らなサンゴ礁域は特に水流によるダメージが著しく特に深場への落下/流れ込みによる影響が多い様に思われる。砂場に着底していた多くの珊瑚が流砂により倒れ、影響を受けている。これらのサンゴ礁域ではFireCoral,BlueCoral,PoreCoral,などへの影響が見られる

1.2 リーフスロープにおけるサンゴ (Reef Slope)

東側にあるスロープ形状に生息する珊瑚は流砂のため、リーフの深度下にサンゴ砂や、サンゴのガレと流れ込み、リーフの下のサンゴをなぎ倒したり、中には流砂に埋もれてしまったリーフの下部層のサンゴも見られる。枝サンゴやテーブルサンゴにその影響は多く見られ、流砂によって折れ、倒れてしまっている姿が見られる。有志ダイバーの報告書の調査箇所によっては60%のダメージとの報告をも受けている。しかしながら、津波によって死滅をしたわけではなく、ひっくり返ったり、倒れ、折れてしまったりしている箇所の数値に過ぎず、これらの破損したサンゴの中にはその状態のままでも更なる成長が出来るものが多く存在している。その状態のサンゴは従来の成長環境での状態とは異なる事から、今後の成長率がはばかられることが考えられる。これらの成長率の低下は今現在の状態では説明することは出来ない。

今シーズン後のモンスーンの時期(季節風)における波の影響で、折れてしまったり、砂に埋もれてしまったサンゴは転がったり、削れたりなどの更なるダメージを受ける可能性もある。
それらのサンゴの生存を救う方法は、

ひっくり返ってしまった面を元の位置に戻す
埋もれてしまったサンゴを掘り起こす/覆われた砂を掃う
破損したサンゴを動かないように固定する

等の救済活動が、今現在の先決解決策である。

破壊、損失され、一見ダメージを受けたと見られるサンゴは、従来のサンゴの生存過程現象にも見られ、太古より生物学上、何度となく繰り返され現在に至っている。現に波によって運ばれた砂も実は元々サンゴから来ているものであり浸食作用の結果である。

東側のサンゴ礁の形状は幾度となく繰り返された自然の破壊、侵食によって形成されて現在のリーフ形状をしているため、今回の津波による破壊は一方ではサンゴ礁の成長にある自然の浸食作用であると理解することもできる。

サンゴ礁の今後の育成をさまたげないために、排水/汚水、アンカリング、観光事業の許可地区のみへの進入制限、人為的にサンゴ礁を踏んだりといった行為などの取り締まりを強化する必要性がある。

2.  西海岸側のサンゴ

シミラン諸島の西側の主なる形状は巨岩にて形成されており、その地区に生息する珊瑚の多くはその岩盤の上に育つ。ソフトコーラル、ウミウチワ、ハードコーラルなどが見られる。モンスーンシーズンには南西方面からの風波による影響がある為に、シミラン諸島の西側にサンゴ礁が形成されることは少ない。

この度、各島の北部や南部がわにおける津波のダメージは比較的多く、特に岩盤部分の下部の砂が強い潮流により掘り起こされた跡も見られる。岩盤に付着して育ったTreeCoral,FireCoralはその水の力によって折れ、破損している箇所が多く見られている。

全体数からみると、損傷度数は10~80%と見られる。ダメージのあった隠れ根としては、ChristmasPoint(KoBangu)が挙げられ、現在は深刻な状態であるといえる。西側に面している湾では、DonaldDuckBay(AoGuerk)が流されたゴミ等によるダメージを受けている。

【学者からの今後の復興アドバイス】

今後の復興アドバイスは以下に伝え、復興活動を一環的なものとする。 

National Park, Wild Life and Plant Conservation Department, 
Department Of Marine And Costal Resources

1. Gorgonian とCoralを元に戻す(おこす)
1.1 倒れた珊瑚を元通りおこす

ダメージエリアの多くのサンゴは折れ、倒れてしまっている。それらの倒れた珊瑚は死んでいるわけではないが、そのままの状態では今後の成長は著しく遅くなる事が考えられる。よって、復興作業の一環として早いリカバリーが必要とされる。

現在の倒れた状態の珊瑚は今後もこのまま状態で成長する事は可能であるが、その方向が変わってしまった為に一刻も早く、ボランティアや協力隊を形成し埋もれた砂からサンゴを救出し、通常の面を表に出す作業が必要とされる。

1.2 折れたGorgonianの固定作業

折れたり、倒れてしまったGorgonianは今後の生存の可能性は著しく低い。特に砂に埋もれた場合は、低い可能性での生存率が考えられる。よって、固定器具を利用し、それらのGorgonianを元の立っている状態に戻す事が必要である。

1.3 サンゴの生息場所の確立

シミラン諸島の東側はその形状がサンゴ砂で覆われている。今回の津波の影響にて折れてしまったサンゴ片は、成長をするものの、緩んだ地盤の砂地では固定が難しいとされる。よって、それらのサンゴ片を収集し地盤のしっかりした水底に固定をする事によって救う事が可能とされる。

その場所に適しているとされるエリアは、

SnapperAlley(KoBangu) 
KoMieng(Similan#4)のPrincess Bay

である。

2. 水底におけるゴミ拾い

ドナルドダック・ベイ内(AoGuerkSimilan#8)には、陸地から流れ込んだゴミなどが多く沈んでいる。ゴミ回収作業を行う事によって、うねりや波によってゴミなどが動き,サンゴや水中生物に更なるダメージを与えるのを防ぐことが可能となる。

3. 船舶停泊ブイの状態確認

船を停泊するためのブイの状態を確認、調査する。必要に応じ、修復を施しブイを増やす。

4. ダイビング用の規律を改定/定める

シミラン国立公園内のサンゴ礁域の一刻も早い状態復興の一環として、観光産業の入島制限を施し、特にダイビング産業への規律を定め、制限する事が必要と思われる。

4.1 船舶の入島/上陸ルートの制限と船舶汚水設備の制限

• DonaldDuckBayや他の観光客が上陸できるビーチ前にガイド・ブイを設置し、上陸ルートを定める事によってサンゴ礁へのダメージを抑える。更には大型船舶の係留地区を定める。
• トイレのある船舶は、汚水タンクを常設しなくてはならない。また、汚水を国立公園内海域で捨ててもならない。
• 船内で発生したゴミは全て、本土に持ち帰らなくてはならない。

4.2 ダイビングポイントへの許可申請の制限

• シミラン国定公園エリアに入場する3日前までに事務局にダイビング・プラン(参加者、ルート情報)の申請をする事
• 全てのダイビング・ボートは母船からそれぞれのダイビング・ポイントにダイバーを送り迎えするためのディンギィーを持っていなくてはならない。

4.3 ダイビング・ポイントのローテーション制度

ダメージのあるダイビングポイントの閉鎖
人為的及びに自然的なサンゴの回復
健全率の高いサンゴ礁域の閉鎖
水中生物の生息域としてのサンゴ礁の保護

上記理由により、以下のダイビング・ポイントの保護を取り決め、エリアの入場は禁止する。
• Ko Huyong (Similan#1)
• Ko Payang (Similan#2)
• Ko Payan (Similan#3)
• Chinese Wall (South of Similan#4 Ko Miyang)
ダメージが非常に大きい箇所である
• Fantasy Reef (่West side of Similan#8 Ko Similan)
現在回復途中
• Christmas Point (West Side of Similan#9 Ko Bangu)
ダメージが非常に大きい箇所である
• Snapper Alley (South West Of Similan#9 )
ダメージが非常に大きい箇所である、今後はサンゴ復興作業域として利用する事とする。

4.4 ダイビング・オペレーターに対するセミナー

現在のダイビング・ポイントの状況とサンゴ礁の状態の説明と制約事項、ダイビング・ルール、更には規定違反の際の取り決めと違反者に対する処罰と取り締まり事項の説明
(セミナー)を行い、環境保護に賛同を促す。

5. サンゴ礁域の変化の調査

サンゴ礁域の生態の変化、成長の確認 調査結果報告を今後の貴重なる生態情報記録とし、正しい計画に基づいたサンゴの育成を図る為の資料とする。今回のサンゴ礁域ダメージ報告書はあくまでも、津波災害によるダメージの報告書である。

この活動はサンゴ礁域の生態保護活動の新たな始まりに過ぎない。今後も更なる調査と確認を続ける事によって、長期でのサンゴ保護活動が可能となるだろう。珊瑚の復興/回復にどれほどの時間が必要とされるのかは、これからの復興作業と修復協力によって異なるが、時間の経過が必要であることは言うまでもない。特に閉鎖域、シミラン諸島東海岸側、重要な隠れ根、これらのサンゴ礁域は密に確認をし続ける必要がある。

【補足】

今回の調査は以下の協力があってなされた事をここに報告する

• Siam Cruise Co.,LtdのAndaman Princessによる運行提供
• Thai Oil Co.,Ltd (Public) よりガソリン 30,000 リットル
• Chonlamark Co.,Ltd / Nippon Oil Co.,Ltd. / Wachara Marine Co.,Ltd.よりディンギィー、オイル、アウトボードエンジンの提供
• タイ国空軍によるバンコクからプーケットまでの飛行運輸
• バンコク・プーケット・クラビー・カオラックの有志ダイバーによる水中調査協力
• Scuba newsのチームダイバーと情報を広げるプレスの方々
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by jtdnet | 2001-01-01 00:00 | タイ政府公式報告書